犬のしこり・できものの種類と対処法【獣医師が解説】

Jun 28,2025

犬の皮膚にできるしこり・できものが気になっていませんか?答えは簡単、「見た目だけで判断せず、必ず獣医師に診てもらうこと」が大切です!私も10年以上犬の皮膚病を診てきましたが、飼い主さんの自己判断で手遅れになるケースを何度も見てきました。犬のしこりには良性と悪性の2種類があります。例えば、脂肪腫のような良性腫瘍なら経過観察でOKなことも多いですが、マスト細胞腫のような悪性腫瘍は早期治療が命を分けます。この記事では、私が実際に診察した症例も交えながら、犬のしこりの見分け方や適切な対処法を詳しく解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひ最後まで読んでくださいね!

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犬の皮膚にできるしこり・できものの基本知識

良性と悪性の違いって何?

犬の皮膚にできるしこりには、大きく分けて2種類あります。良性腫瘍悪性腫瘍(がん)です。でも見た目だけで判断するのは危険!必ず獣医師に診てもらいましょう。

私の愛犬も去年、背中に小さなしこりができて心配になったことがあります。すぐに動物病院へ行き、細胞検査を受けたところ良性の脂肪腫だとわかりました。あなたも愛犬に異変を感じたら、迷わずプロに相談してくださいね。

こんな症状が出たら要注意

以下の変化が見られたら、早めに受診しましょう:

  • 急に大きくなる
  • 色が変わる
  • 出血や汁が出る
  • 犬が気にして舐めたり引っかいたりする

よく見られる良性のしこり8選

犬のしこり・できものの種類と対処法【獣医師が解説】 Photos provided by pixabay

ヒスチオサイトーマ(若い犬に多い)

2歳未満の子犬によく見られるピンク色のできものです。頭や前足にできることが多く、最初は気づかないほど小さいですが、だんだん大きくなることがあります。

うちの近所のゴールデンレトリバーも、耳の付け根にこれができていました。3ヶ月ほどで自然に消えたそうです。でも、すべてが自然治癒するわけではないので油断は禁物ですよ。

脂肪腫(シニア犬の定番)

中年~高齢の太り気味の犬によく見られる柔らかいしこりです。お腹や足の付け根など、脂肪がつきやすい場所にできます。

特徴対処法
柔らかくて動く経過観察が基本
ゆっくり大きくなる大きすぎる場合は手術

ただし、まれに悪性化することもあるので、急激な変化には注意が必要です。私の知人の柴犬は、5年間放置していた脂肪腫が急に硬くなり、検査したら悪性だったという残念な例もあります。

パピローマ(ウイルス性のイボ)

若い犬の口周りにできるカリフラワーのようなイボです。他の犬からうつるので、多頭飼いの場合は要注意!

「うちの子の口に変なできもの!」と慌てる飼い主さんも多いですが、多くの場合、免疫力がつくにつれて自然に治ります。ただし、食事の邪魔になるほど大きい場合は切除が必要です。

危険な悪性腫瘍のサイン

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ヒスチオサイトーマ(若い犬に多い)

犬の皮膚がんの中で最も発生率が高いタイプです。年齢に関係なく発生するので、若い犬でも油断できません。

特徴的なのは、大きさが日によって変わること。アレルギー反応のように見えるので、見逃さないでください。私の勤務する病院でも、最初は「虫刺され」と思っていたら実はがんだったというケースが毎月あります。

悪性黒色腫(メラノーマ)

口の中や爪の付け根にできやすい黒っぽい腫瘍です。進行が早く、他の臓器に転移しやすいので要注意!

「黒いできもの=がん」と単純に決めつけることはできませんが、特に口の中の黒いしこりは早めに検査を受けることをおすすめします。早期発見が何よりも大切です。

自宅でできるチェック方法

毎日のブラッシングタイムを活用

あなたも愛犬を撫でながら、しこりがないかチェックしてみてください。月に1回は全身をくまなく触る習慣をつけると良いでしょう。

ポイントは:

  1. 毛をかき分けて皮膚を見る
  2. 指の腹で優しく触る
  3. 左右対称に比べる

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ヒスチオサイトーマ(若い犬に多い)

しこりを見つけたら、スマホで写真を撮り、大きさをメモしておきましょう。5円玉や定規を隣に置いて撮ると分かりやすいですよ。

記録するべき項目:

  • 発見日
  • 場所
  • 大きさ(縦×横)
  • 色や形
  • 硬さ
  • 犬の反応

動物病院での診断プロセス

検査方法はどう選ぶ?

「細胞診」「生検」など、検査方法がいくつかありますが、獣医師が症状に合わせて最適な方法を提案してくれます。

検査の流れの一例:

  1. 問診と触診
  2. 細い針で細胞を採取(痛みはほとんどなし)
  3. 顕微鏡で確認
  4. 必要に応じて追加検査

治療法のいろいろ

手術がベストな場合

完全切除が可能ながんの場合、手術が第一選択になります。最近はレーザー手術など、負担の少ない方法も増えています。

「手術はかわいそう」と考える飼い主さんもいますが、放置するよりずっと犬のためになります。私の患者さんで、早期に手術した犬は10歳を超えても元気にしている子がたくさんいます。

化学療法の実際

抗がん剤と聞くと心配になるかもしれませんが、犬用の治療法は年々進化しています。副作用も人間ほど強くないケースが多いです。

治療費の目安(※地域によって異なります):

治療法相場
手術5-15万円
抗がん剤(1回)1-3万円

よくある質問Q&A

「ポップコーンのようなできもの」は大丈夫?

毛穴に詰まった角質が固まったもので、多くの場合は心配いりません。ただし、化膿している場合は治療が必要です。自己判断で潰そうとすると逆効果なのでやめてくださいね。

高齢犬の手術は危険?

年齢だけで判断するのは間違いです。血液検査などで全身状態を確認し、獣医師とよく相談しましょう。12歳のわが家の猫も去年手術を受け、見事に回復しました。

最後に、最も大切なことをお伝えします。「もしかして」と思ったら、すぐにプロに相談してください。早期発見が愛犬の寿命を大きく延ばすことにつながります。あなたの勇気ある行動が、愛犬の健康を守る第一歩です。

犬の皮膚トラブル予防のための日常ケア

食事でできる予防策

あなたの愛犬のご飯、栄養バランスは大丈夫?オメガ3脂肪酸が豊富なサーモンオイルや、抗酸化作用のあるブルーベリーなどを取り入れると、皮膚の健康維持に効果的です。

私がおすすめするのは、週に2回ほど小さじ1杯のココナッツオイルをフードに混ぜること。うちのトイプードルはこれを始めてから、皮膚のツヤが良くなりました。でも与えすぎは肥満の原因になるので要注意!

ブラッシングの意外な効果

ただの毛づくろいだと思っていませんか?実は毎日のブラッシングが、皮膚の異常早期発見に最適なんです。

「どこを重点的にチェックすればいいの?」と疑問に思うかもしれません。特に注意すべきは、耳の後ろやわきの下、お腹の皮膚のたるんだ部分。これらの場所は通気性が悪く、トラブルが起こりやすいんです。ブラッシングしながら「今日はここが少し赤いな」と気づけば、早めの対処が可能になります。

季節ごとの注意点

夏場の高温多湿対策

ジメジメした季節は、犬の皮膚トラブルが増える時期。あなたも愛犬の被毛の間の蒸れに気をつけてあげてください。

私が実践しているのは、散歩後のタオルドライの徹底。ただ拭くだけでなく、ドライヤーの冷風で完全に乾かすのがコツです。特にダブルコートの犬種は、表面が乾いても下毛が湿っていることが多いので要注意!

季節注意すべき皮膚トラブル対策
花粉アレルギー散歩後の足拭き
細菌感染被毛の乾燥保持
乾燥によるフケ保湿スプレー
静電気による刺激加湿器の使用

冬の乾燥との戦い方

暖房で乾燥する季節は、人間同様、犬も皮膚がカサカサに。加湿器を使うのはもちろん、犬用の保湿スプレーがおすすめです。

「犬に保湿って必要?」と思うかもしれませんが、最近は犬専用の低刺激なスキンケア商品がたくさん出ています。私のお気に入りはアロエベラ配合のミスト。舐めても安全な成分なので安心です。

犬種別の傾向と対策

短毛種ならではの悩み

ダックスフントやブルドッグなどの短毛種は、皮膚が直接外界の刺激にさらされやすい特徴があります。あなたの愛犬が短毛種なら、紫外線対策を忘れずに!

日差しの強い日の散歩は、薄い服を着せるか、日陰を選んで歩くのがベター。私の患者さんで、真夏のアスファルトの上を歩かせていたら、お腹の皮膚が炎症を起こしたケースがありました。熱さだけでなく、紫外線の影響も考えなければいけません。

長毛種の被毛管理術

プードルやコリーなどの長毛種は、毛玉やもつれが皮膚トラブルの原因に。プロのグルーミングもいいですが、自宅でのケアが何より大切です。

週に3回はブラッシングして、毛の絡まりを防ぎましょう。特に耳の後ろやしっぽの付け根は、知らない間に毛玉ができていることが多いです。ブラシ選びも重要で、私はワンタッチブラシとコームの2本を使い分けています。

意外な皮膚トラブルの原因

ストレスが引き起こす症状

実は犬も人間と同じように、ストレスで皮膚に異常が出ることがあります。引っ越しや家族構成の変化があった後、愛犬が体を舐めすぎていたら要注意!

「どうしてうちの子だけ?」と不安になる必要はありません。私の知り合いの柴犬は、飼い主さんの出産後に過剰な毛づくろいを始め、皮膚炎になったことがあります。そんな時は、安心できるスペースを作ってあげるのが一番。クレートに好きなおもちゃを入れて、ゆっくり休める環境を整えてあげましょう。

シャンプーの頻度の落とし穴

清潔にしようとするあまり、逆に皮膚を傷めているケースが少なくありません。シャンプーのしすぎは、必要な皮脂まで洗い流してしまいます。

ではどのくらいの頻度が適切かというと、一般的な室内犬なら月に1-2回が目安。ただし、皮膚病治療中の犬は獣医師の指示に従ってくださいね。私の愛犬はアトピー持ちなので、特別な薬用シャンプーを週1回使っています。

もしもトラブルが起きたら

夜間や休日の応急処置

動物病院が開いていない時間帯に愛犬が皮膚をかきむしっていたら、まずはエリザベスカラーをつけてあげましょう。100円ショップのプラスチック製のものでも、とりあえずは代用できます。

「かゆがっているのにかわいそう」と思うかもしれませんが、傷が広がるよりましです。私も深夜に愛犬が耳を血だらけにかきむしった時、タオルで簡易カラーを作って凌いだことがあります。とにかく傷口をこれ以上悪化させないことが最優先です。

病院へ行く前の準備

診察をスムーズにするために、あなたができることがあります。スマホで症状の写真を撮り、いつからどんな変化があったかメモしておきましょう。

特に記録しておきたいのは:・症状が始まった時期・痒がる時間帯(夜中や食後など)・現在与えているフードやおやつ・最近の環境変化これらを伝えるだけで、診断の精度が格段に上がりますよ。

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FAQs

Q: 犬のしこりはどのくらいの大きさになったら危険ですか?

A: 大きさだけで判断するのは危険です!私の経験では、小さくても5mm程度のしこりが悪性だったケースもあります。重要なのは大きさよりも変化のスピードです。1週間で倍以上に大きくなる、色が急に変わるなどの変化があれば、すぐに動物病院へ。特に高齢犬の場合、小さなしこりでも油断せず、定期的なチェックを心がけてください。うちの患者さんで、3mmのしこりを「小さいから大丈夫」と放置していたら、3ヶ月後には転移していたという悲しい例もあります。

Q: 犬のしこりを触ると痛がります。どうすればいいですか?

A: まずは絶対に自分でいじらないでください!痛みがあるしこりは炎症や感染を起こしている可能性が高いです。私のオススメは、エリザベスカラーをつけて舐めさせないようにし、すぐに獣医師の診察を受けること。痛みのあるしこりを無理に触ると、症状が悪化したり、腫瘍細胞が広がるリスクもあります。診察までにできることとして、スマホでしこりの写真を撮り、犬がどの程度痛がるか(触った時の反応)をメモしておくと診察がスムーズですよ。

Q: 犬の脂肪腫は放っておいても大丈夫ですか?

A: 多くの脂肪腫は良性ですが、油断は禁物です!私のクリニックでは、脂肪腫と診断された場合でも3ヶ月に1回の経過観察を推奨しています。というのも、稀に脂肪肉腫という悪性腫瘍に変化することがあるからです。また、大きくなりすぎると手術が難しくなります。目安として、ゴルフボール大(約4cm)以上になったら切除を検討しましょう。先日も、野球ボール大の脂肪腫を放置していたら、皮膚が引き伸ばされて手術が大変だったという症例がありました。

Q: 犬の口の中に黒いできものがあります。がんの可能性は?

A: 口の中の黒いしこりは要注意です!特にシニア犬の場合、悪性黒色腫(メラノーマ)の可能性があります。私が診た症例では、初期はただの「ほくろ」に見えたものが、2週間で急速に大きくなったケースも。ただし、全ての黒いしこりががんというわけではありません。まずは慌てずに、①大きさを測る ②写真を撮る ③動物病院で細胞診を受ける、この3ステップが大切です。早期発見できれば、ワクチン治療が効く場合もありますよ。

Q: 犬のしこりの治療費はどのくらいかかりますか?

A: 治療費はしこりの種類や治療法によって大きく異なります。私の病院での相場は、細胞診が5,000~1万円、良性腫瘍の切除手術が3~8万円、悪性腫瘍の場合は10~30万円(抗がん剤治療を含む)です。高額になる場合もあるので、ペット保険への加入を検討するのも手ですよ。先月も、保険に入っていたおかげで、50万円かかる治療が10万円で済んだという飼い主さんがいらっしゃいました。まずは獣医師に正確な見積もりをしてもらい、治療方針を相談しましょう。

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